シトロエンGS

↑2014年10月11日撮影(凱旋門よりルーブル美術館方面)

シトロエンGS
1970年代にシトロエン社がハイエンドモデルのDSと普及モデルの2CVの間を埋めるべく送り出した傑作のひとつ。
小型ボディにハイドロニューマティックサスペンション+空冷フラット4エンジンをインストールした独特な乗り味のクルマ。
しかし一般には故障の多さから敬遠され、少なくなりつつある不遇なクルマ。

技術者はどんな意図でこのクルマを設計したのか・・・?

エンジン、サスペンション、ボディからねじ一本に至るまで考えられていないものはないはず。
このブログは個人のユーザーである管理人の修理の記録とそれらの過程で見えてきた技術者の意図を考察するブログです。

2015/03/29

リア マニュアルハイトコントロール Manual height control


画像が車高調整の心臓部。
ハイトセンサーなどとたいそうに記載しましたが、アンチロールバーの回転角度(=車高)を伝えるただのロッドです。
それとは独立した運転席からのマニュアルハイトコントロールのロッドがここまで伸び、フォークを介して強制的にリンゲージを引っ張る仕組み。

向かい合っているアジャストナット2つをフォークから均等の位置にセットし、画像はノーマル状態なのでフォークはフリーの状態ですが、ここから運転席でミディアム、ハイの車高を選ぶとアジャストナットの6角部分でフォークを動かし必要量のリンゲージを引っ張って車高を高める働きをします。

通常走行でのサスペンションストロークによるリンゲージの動きは、均等の幅に設定したアジャストナット間の幅で吸収していることになるはず。
つまり構造上アジャストナットのスリーブ上をフォークがスライドするので、特に指定はないようですが要グリスアップポイントだと思います。

2015/03/28

リアハイト アジャストメント  Adjust rear height


ハイトをアジャストします。
リアは簡単で2つの固定ボルトを緩めることでハイトコレクターそのものを前後させヘソ部分から通じているバルブへのテンションを変える。
ノーマルハイト状態でハイトコレクターを前進させれば、車高が下がり、後退させれば車高が上がるという原理。

アクセス部位がトランク奥ですが一応空荷の状態で行うようなので、トランク床面に体重を掛けないようにしなければなりません。
後は車体下にメジャーを入れて、リアサブフレーム下面と地面が272㎜±10㎜になるように調整すれば完了。
経験的に乗り心地は車高が低くても高くても悪くなるので、このあたりは個人的に結構重要だと思っています。
古くなってくると樹脂のリンゲージの硬化や退縮でバルブを引っ張る方向に働くのか、実際に私が手に入れた時も規定値より30㎜ぐらい高い状態だった。
困るのは光軸がずれること必須であり、車検時はもとより対向車に迷惑を掛けないように注意する必要があります。

2015/03/21

リアハイトコレクター Rear height corrector


リアのハイトコントロールがフロントに比較し遅れ気味なのでリアハイトコレクターをオーバーホールするつもりで取り外しました。
結果からすると無理にオーバーホールが必要な状態ではなかったし、ダストカバー内部のダイヤフラムを固定しているリングが外れず(叩くとフランジ部分を曲げてしまいLHMがリークしてしまう恐れがあったので)諦めた。

しばらく交換された形跡もなく、おそらくオリジナルを疑っているのですが、ダストカバーを外した状態でもLHMの滲みすらないので良品と判断できます。ほとんど外気に露出しない場所だからか、だとすると後年のモデルより寿命が相当長く感じます。
分解しないので高圧配管に通じる穴からフラッシング用に新しいLHMを流し何度も中のシャフトに繋がっているヘソ部分を押したり、引っ張りしてリークバック(画像のゴムホース)からヘドロ状のLHMが出てこなくなるまで繰り返す。

知恵の輪のように元の位置に戻し、狭い隙間から高圧配管を奥まで差し込むのが結構大変ですが、バルブの動きの渋さは改善され始動時の車高の上りもフロントよりリアの方が先に上がるようになりました。
注意点は取り外しの際に高圧配管のスリーブナットを傷めないように、しっかりフレアナットレンチを使うことと、ブラケットとの取り回しに余裕がないので配管や燃料ホース系を同じく傷めないこと、高圧配管のシールを新しくすることですが、油圧系は全般として私のような一般人が行う作業でないことは確かです。

オイルフィルターの交換 Oil filter exchange


オイル交換時に手ごろなレンチが無くて一緒に交換できなかったフィルターを交換。
エンジン上側にあるのでアクセスはし易いのですがスロットル、チョークなど各種ワイヤーが多少気になります。

結構な量のオイルを漏らしてしまったのでクリーニングが大変。
何か上手いやり方があるのかもしれません。
マニュアルでは1000㎞走行以降はご覧の白色のフィルターを使用し、クランクケースに接したところから1/2~3/4締めこむそう。
このタイプのフィルターレンチは思いのほか挟む力が強いのでフィルターを無理に凹ませないように注意が必要です。

2015/03/15

ハイドロニューマティックの将来 Future of hydropneumatique


ハイドロニューマティックのシトロエンはC5で終わりらしい。
今の国内台数はC5(新旧)>>>C6>>Xan>>CX≧XM≧BX>DS>GS>SMと思っているのですが正解はどうなんでしょうか。

90年代以降、DS、GS、SMとイベントやショップ以外ですれ違ったことは生涯でそれぞれ1~2度なのでかなり台数が(30~50台?)限られていることが想像できます。
また過去のスクラップインセンティブや、ストラットやATの問題でXanやXMやBXが急速に台数を減らしているように思う。
ビッグシトロエンは価格や希少性からそれなりの代数を保っていくと想像しますが、XMはさらに電子部品の調達が難しくなりそうな気配。

逆にGSは国内の熱心なショップによって輸入されており、電子部品が無いので比較的メンテナンスが簡単。意外に台数を増やしている可能性すらあります。
将来的な台数についてCX=C5=C6>DS≧GS>>SM=BX=XM=Xanというように重要パーツに欠品がでている一部の車種はSM並の希少車になってしまいそうで気になります。
私のブログも少なかれGSおよびハイドロニューマティックの延命に繋がればいいのですが。

2015/03/14

サイレンサーのピンホール Rust of the silencer


ガレージのフロアに錆びの色がつくようになったと思ってたらサイレンサーの錆びから発生したピンホールからじゃぶじゃぶ水が漏れていました。
もともと全体に補修や塗装をされた形跡があったので、応急処置でこれまで延命されていたのでしょう。
ここ以外にも数カ所小さい穴が開いている。

溶接屋の親父の話では全体に腐食が進んだものは溶接の際に炙っただけで一気に穴が広がるものらしく、そう簡単に溶接に踏み切れない。
年調は良いし、触媒の状態も良い、悪いのは街乗り主体ということで、発生した水蒸気を排出しきれず腐食が進んでしまったと思います。
マフラーパテで補修しても一時的で、これは多分次回の車検は通らない。
交換してしまった方がいいですね。

2015/03/08

リアブレーキのエア抜き Rear brake bleeding


リアブレーキのエア抜きはフロントに比べると遥かに面倒。
ブレーキ圧は後輪荷重(というかリアスフィア圧)に負わせているので、フロントとは勝手が違います。
さらにメインアキューム圧を解放し、車高が最低の状態でエア抜きのためタイヤを外す必要があり。(本来は2510-TというSSTを左右に渡し中央からジャッキアップするようです。)

そんな道具はないので先にウマに載せた状態でメインアキューム圧を解放し、車高レバーを高位置に、ジャッキでトレーリングアームを持ち上げることで油圧を抜いた。
後は左右キャリパーのブリードスクリューを緩めた状態でエンジンを掛け、メインアキュームのプレッシャーバルブを締めることはフロントと同じです。

ただしリアは荷重でブレーキをコントロールしているので、このような荷重ゼロの状態でLHMは溢れてこないので焦る。エア抜きはリアアームが伸びきって油圧が最大になるのを待たなければなりません。
リアキャリパーのブリードスクリューはメガネレンチでは回し難いので、結局後面から8㎜のボックスレンチで回したことでドレーン用のホースがあまり役に立たずLHMは一部そのまま垂れ流して排出。

これもよくよく考えるとタイヤを外さなくても後ろ側からなんとかブリードスクリューにアクセスできるので、最初からLHMを垂れ流す用意があるならジャッキアップも必要なく、車高調整レバーだけでできたはずです。全く無駄な時間を過ごしました。

そうすると手順としてメインアキューム圧の解放、車高レバー高位置、車高が完全に下がったらブレーキペダルをブロックに踏ませ左右キャリパーのブリードスクリューを緩めホースを接続、エンジンを掛ける、メインアキュームのプレッシャーバルブを締める、車高の上昇と共にLHMが排出、ホースを外しボックスレンチでブリードスクリューを締める、LHMを清掃して終了でいいのかな。

2015/03/06

フロントブレーキのエア抜き Front brake bleeding


フロントブレーキのエア抜きを行いました。
Xmの時は気にもしていなかったが、メインアキュームの油圧を解放した状態でブレーキを踏みながらキャリパーのブリードスクリューを緩め、次にエンジンを掛けメインアキュームのプレッシャーバルブを締めることによる油圧の回復でLHMをブリードスクリューから抜くものらしい。

従ってよくよく考えると通常の油圧ブレーキでブレーキペダルを踏む行為はメインアキュームのプレッシャーバルブを締める事に相当。ブレーキペダルを踏むのは油圧の経路を確保しておくだけです。
今思えばペダルは家内じゃなくてコンクリートブロックにでも踏ませておけばそれで充分で、特別な道具や技術なく一人でエア抜きをやる事も可能だった。

フロントは簡単。まずは空調用のダクトを外す。キャリパーはインボード式で左右の油圧パイプが繋がっているので右側のみのブリードスクリューにドレーンのホースを取り付けます。
LHMにはほとんど気泡もなくフェードで懸念されたヴェイパーロックのような現象には至っておらず。
しかし深緑色に変色し劣化がみられるので当然ながら廃棄です。

オイル交換 Changing oil


オイル交換を行った。
ドレンボルトはフランス車によくある4角凹が切ってあるボルトではなく、通常の22㎜の6角。
前回交換からしばらく経っていますが、さすがに距離を積んでいるので磁石に鉄粉はついてません。

パッキンのストックがないので国産品で合うものを探したところ、スバルの軽自動車用のものがほぼ同じサイズ。
銅パッキンではなく、プラグのパッキンのように袋状のリングがつぶれて密閉するタイプです。
自動車用品店で2個入り350円ぐらいだったでしょうか。
こだわらなければM16用の銅ワッシャーは気の利いたパーツ屋にはある訳ですが、テストを兼ねてしばらくこれで乗ってみます。
銅パッキンも再利用のため凹凸を均して焼きなまししとこうかなと。

2015/03/01

ステラリングラックインナージョイント交換 Ball pin for direction rod


左のステアリングラックインナージョイントを交換しました。
長さが変わらないようにタイロッド側のロックナットをマーキングして切り離す。
ストップワッシャーを挟み、ラックに溝が切ってあるので回り止めのロックワッシャーをかけて、最後に爪を折る構造のようです。
(画像は最後にマイナスドライバーで爪を折る工程)

構造を理解してなかったのでロックワッシャーの用意がなく、結局叩き直して再利用しました。
本来は一緒に交換すべきパーツで迂闊だった。
スペースが限られ、ロアアームやホイールハウスにスパナが当たって回しにくい点が面倒。