シトロエンGS

↑2014年10月11日撮影(凱旋門よりルーブル美術館方面)

シトロエンGS
1970年代にシトロエン社がハイエンドモデルのDSと普及モデルの2CVの間を埋めるべく送り出した傑作のひとつ。
小型ボディにハイドロニューマティックサスペンション+空冷フラット4エンジンをインストールした独特な乗り味のクルマ。
しかし一般には故障の多さから敬遠され、少なくなりつつある不遇なクルマ。

技術者はどんな意図でこのクルマを設計したのか・・・?

エンジン、サスペンション、ボディからねじ一本に至るまで考えられていないものはないはず。
このブログは個人のユーザーである管理人の修理の記録とそれらの過程で見えてきた技術者の意図を考察するブログです。

2017/08/20

ステアリングラックのプリロード調整

プリロード調整。
ピニオン部分でサイドからラックを押さえつけることで遊びを無くす働き。
プレッシャースプリングのテンションはリングナットの締め付けで調整できる。
スプリングはグリスが切れ、さびが発生。本来のスプリング長も失われ、規定の締め込みができません。規定とは締めこんだ最大値から1/6~1/8ナットを緩めるというもの。

ここでも問題があり、ナットの緩み留めの割ピン挿入位置が一カ所ずつしかなく、1/6~1/8なんて任意の位置で固定ができない。仕方がないのでスプリングとリングナットの間にスペーサーとしてジャストサイスの1円玉をいれた。

重ステになるのは覚悟していたが、組み上げのテスト走行では逆に軽くなった。パワステがなく、路面やジオメトリーの抵抗をもろに受けているGSではプリロードぐらい誤差範囲なんでしょう。これまで走行中に左に寄りたがる癖はなくなり、中立付近もしっかりした。もう少しタイトに締めこんでもよかったかもしれない。

2017/08/18

ステアリングラックのオーバーホール

ばらしたステアリングラック。
画像の右上がカルダンシャフト、真ん中がラックとピニオン、左がケース、右にホイールハウスのプレート他、ピニオンベアリングのプレートやラックのプレッシャースプリングが見える。

目視で点検していきますが、ピニオン、ラックに問題は無いよう。ケース右側のブッシュもOK。
クリーニングして新しいグリスを入れて戻す。
特に左側にガタがでていたので、問題はプリロード調整のプレッシャースプリングとほぼ断定できました。

ステアリングラックをおろす

ステアリングの中立付近があいまいでS字カーブなどの切り返しなんかで、舵がワンテンポ遅れ怖い。ラックにガタがあるようなのでおろした。

整備マニュアルにはラックエンドのボールジョイントをはずし、カルダンシャフトの上下ユニバーサルジョイントを外すと記載があるがそんな簡単にはいきません。
ロワーユニバーサルジョイントとラックのピニオン部のボルトは、車体下から見えているが、サブフレームや排気パイプに干渉しうまく工具が掛からない。最終的に左ホイールハウス内のプレートを外すことで比較的容易にアクセスできることが分かるまでに1時間を要す。

いよいよラックがフリーに状態になったが、マウントしているサブフレームハウジングの幅の方が狭く物理的におろせない。整備マニュアルにはIf necessary ハウジングの角を削れと書いてあるので遠慮なく削りますよ。て言うか削らないと絶対無理。削った後も知恵の輪状態。グラインダーで削るにもラックをおろすにも排気パイプが邪魔するので、結局エキマニ以降、Yパイプ、触媒もおろすことになりここまで半日。

排気管は一カ所外すだけでそれまでのバランスが崩れ、必ずどっかから排気漏れが起こる。全部組みなおす覚悟が必要なので気が重い。

2017/08/13

キャブレターのセミオーバーホール







































燃料ポンプを交換したからか、アイドリングが安定しないハンチングの症状がでるようになったので、キャブレターのオーバーホールを行った。

と言ってもバタフライは触らずに各ジェット、ベンチュリー、ポンプ周辺のみのセミオーバーホールと言ってもいい。
元の場所がわからなくなってしまうので、一つ一つ外してはクリーニングして、場合によってはワイヤーを通し(ギターの2弦ぐらいがちょうどいい)戻していきます。

結構なゴミが詰まっているがわかります。これだけならキャブレターの脱着とクリーニングで1~2時間の作業なんですが、困ったことに余計に症状がひどくなってしまった。どうやらキャブベースのインシュレーター付近から2次エアを吸ってしまっているので、さらに2回脱着、液体ガスケットを塗布したり手間取ってしまった。

2017/08/02

フューエルポンプの刻印

フューエルポンプのバルブ部分の拡大画像。
ばねで仕切りとなる板が相互の方向から押さえつけられているだけの簡素な構造です。
特に不良個所は見当たらないが、刻印を見て驚き。1976年3月製造と思われ、おそらくはオリジナル。大変お疲れさまでした。